はじめに

3年に一度の障害福祉サービスや介護保険サービス等の報酬改定が行われた。

障害福祉サービス等の報酬の改定率は+0.47%で法人全体でも500万強の金額に過ぎない。

社会福祉法人改革における余裕資産、社会福祉充実計画の考え方からしても近未来の経営基盤への不安を感じる。

 

昨年のような大幅な社会福祉法人改革のようなものではないにしても、

結果的には残ったが生活の基本である食事提供体制加算の廃止が話題になったり、

送迎加算は車の燃費向上が減額の理由としての説明であったり、

送迎時は職員が添乗しなければならないにもかかわらず開所時間に含まれないなど減額したいとの意思を感ずるものとなっている。

3年前は±0であったので僅かながら上がったことを評価するということにはならない。

 

2.0→2.2%の法定障害者雇用率の上昇、

緩和措置が講じられたが公益活動の義務化、

6年後の特定社会福祉法人への会計監査人(監査法人・公認会計士)、

地域生活拠点の面的整備、機能する自立支援協議会・基幹相談支援センターの整備、

そして共生社会サービス(2020~2025までに各行政区で整備)など、

今後、

質の高い福祉サービスが次々に求められている時期であり、

人材の確保、育成、時代的な課題に向かうミドルマネージャーなどの人材が育つ質の高い素地を作るためにも、

報酬単価は微増の状態ではなく更なる上乗せ(経団連の言う2%)程度は望みたい。

社会福祉分野における人材確保難によって、

保育所の待機児や特別養護老人ホームの待機者が解消されずに

「福祉が足りない」

実態がマスコミでも大きく取り上げられて社会問題となっています。

(2019.3.8.横浜市の保育園3人の保育士の補充ができずに37人転園)

福祉人材を確保するために福祉労働者の処遇改善が必要であることは、

福祉関係者のみならず、

国会でも与野党を越えた共通認識となって、

2014年の通常国会で

「介護・障害福祉従事者の処遇改善のための法律」

が全会一致で成立しています。

 

介護保険の小規模デイサービスの報酬が大幅に下がった際に事業の廃止をする事業所も多数あり、

放課後等デイサービスに転用し、

放課後デイサービスの基準が厳しくなると、障害児支援事業・生活介護への再転用をするなどの現実に起こっている。

第二種事業を、公立と社会福祉法人以外の法人の参入まで認めた以上、経済の論理から当然起こりうる事象ではあるが、

そのサービスを利用していたご利用者の福祉は欠けてしまったことになる。

 

国は、

障害者の重度化・高齢化を踏まえ地域生活を可能とする新たなグループホームの類型を創設した。

20名定員1~5名のショートステイを必置としたものである。

住まいであるグループホームに、ショートステイという人が入れ替わる事業を付けたことに障害特性への理解のなさがうかがえる。

障害者施設の新設ができない中多くのニーズの受け皿になるとしたら第一種事業にすべき内容だと思う。

多様な事業所の参入が考えられるが福祉的理念の希薄化が懸念される。

公益性の強い事業への民間参入については高い倫理性を課し、チェックする機能が必要である。

 

日本国憲法の第25条には、

「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」

「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障、及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」

というように、

国民の生存権とそれに対する国の保障義務を定めている。

「権利としての社会保障」

ということが脅かされる社会であってはならない。

 

働きやすい職場環境に向けて

現在の人口増加・減少率のままでは、2050年には総人口9,000万人前後、2105年には4,500万人まで減少するといわれている。

一億総活躍社会とは、少子高齢化が進む中でも

「50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰しもが活躍できる社会」であり、

それを実現するためには、働きやすい社会環境、職場環境が求められている。

みずき福祉会においても、次の3項目を中心に職員が働きやすい環境を作っていきたいと考えている(これまでの経過については決算時にて報告予定)。

・時間外労働の抑制

・子育てをしながら介護をしながら仕事ができる。

・健康で働きやすい職場環境の整備(心理面も重視する)

そして、

経営が安定していて良好な人間関係があることは、ご利用者・職員・経営者にとって大切なことである。

労使互いの努力が必要なことで、働きやすく、働き甲斐のある職場をこれからも作っていきたいと思っている。

 

「心に添う」支援を

町田福祉園では、

「かかわりプランニングシート」というABC分析(応用行動分析)にもとづくツールを使っている。

これは一般的に「ストラテジーシート」といわれているもので、

行動障害に対して、

・Antecedents(先行条件) 「どんなときに」

・Behavior(行動) 「どんな(適切・問題)行動が起き」

・Consequences (結果事象) 「その結果どうなったか」

ということ考えやすくするためのツールである。

職員が障害特性の共有をしやすくするために有効である。

同様に、

強度行動障害支援者研修で使われている「氷山モデル」も、

表層で見える行動障害の背景にある因子(障害特性と心理面)を強みに変え(リフレーム)、

分かりやすい情報提供である構造化していくという流れである。

意思決定支援の議論のなかで使われた「間主観性」ということも、

赤ちゃんに対して、「あやす→微笑む」 という行動面での視点から、

「あやす→うれしい→微笑む→かわいい」という情動面の大切さを解いている。

アンガーマネジメントでは、

「怒り」という現象は二次感情であり、

その背景にある、

「つらい・かなしい・さみしい等」の一次感情を理解をしていかなければ「怒り」は収まらないといわれている。

つまりは、

行動の背景となるトリガーの理解から、その人の情動への理解をしていく、というように深めてゆく。

みずき福祉会の大切にしてきたことは、

「表面で見えていることではなく、背景にあるつらさや悲しさなどに『心を添う』支援」ということを法人創設以来大切にしてきた。

そのことが、

現在の障害者福祉では、

「虐待とは縁遠い、しあわせや豊かさを感じていただけるようにかかわる」という対人援助技術の主流になってきている。

児童心理学では、当たり前のことである

その子が世界をどう体験しつつ生きているかという“眼差し”が大切!」

という視点をさらに研究し発信していくというミッションがみずき福祉会にはある。

 

新規グループホームは地域の財産となるように

ミシシッピの沖合にヴィニヤード島という石垣島ほどの大きさの島がある。

アメリカがそうであるように16世紀にヨーロッパから多くの移民が来て住み着いた。

その中に遺伝性の聴覚障害になる人たちがいて、多くの聴覚障害の人たちが暮らす島になった。

この島では、子供のころから手話を学ぶ文化が300年続いた。

この島では、

聴覚障害を持っていることが問題とならないという社会が長い時間続いた。

社会的な障壁とは、

障害のある人たちの問題ではなく社会からのアプローチで解消することも少なくない。

これからの圧倒的なニーズに対しての供給体の整備は追いつかない。

篤志家や愛溢れる人しか問題の解決ができないとしたら不可能である。

多くの人たちが持っているであろう善意を集め地域の中の諸問題の解決していくような取り組みが必要となってくる。

公的責任は問いつつ、

福祉を生業としているものの自尊心として、

圧倒的に需要が多い時代的なテーマに挑みたい、

そんな相互支援社会をつくりたい、

そんなインフォーマルなイメージで、

八王子に2棟、町田は1棟2ユニットのグループホームがまもなく竣工する。

八王子には、八王子平和の家の従たる作業の場としてあと1棟の建設(地域開放型)、

町田は一棟2ユニット、共用のリビングとして設計されているが、

地域の人たちが集まれる場としても活用したいと考えている。

地域のニーズを、

地域の人たちといっしょにアイデアを出しあい、

地域のさまざまな課題を解決する、

「地域のリソース」

となるように運営していきたいと考えている。